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今年もあと数日になりました。12月初めに北野天満宮の紅葉苑公開時の刀剣展を見てきました。お馴染みの名刀が並んでいましたがさすがに混雑はなくゆっくり拝見できました。詳細に拝見して初めて気が付いたのは備前長船祐定作の刀で、「映り」が鎬地まで達していた事です。備前刀の「映り」は焼き刃の上の平地の部分にあるとだけ思っていたのですが。
京都愛宕神社の本地「勝軍地蔵菩薩」について調査し、石仏や明治の廃仏をのがれて保存されている像を沢山拝見しました。甲冑の上に僧衣をまとい白馬に乗った地蔵菩薩です。軍神として室町時代に盛行し、各地の戦国大名により勧請されましたが、近世には防災防火の神となり、軍神としての記憶が消えつつある仏です。仏教史の研究者によると日本で創作された仏、典拠とされる「蓮華三昧経」も日本撰述経典とされています。刀剣に不動明王やその象徴である倶利伽羅不動剣を彫刻する例は多いのですが、勝軍地蔵を彫刻した例は浅学にしてまだ見つけられません。ただ地蔵菩薩を示す梵字を彫刻した刀は案外この勝軍地蔵を現していたのではないかと思いました。来年への宿題です。
皆さまよいお年を。
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