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多田義俊『南嶺遺稿』(日本随筆大成・10)に
刀剣を打つ日取 刀剣を打つ日取のある事はいにしへよりある事なり。まづ『中右記』には庚申を用いるとあり。庚も申も皆金なり。それ故庚申を祭るも金と金とが相逢う故、何事も災事のなきやうにとまつる事也。また『藤原家長日記』を見れば、壬癸の日に打つと有り。剣は水気を含(ふくま)するがよしと也。また室町家の法は戊己なり。しかれば土生金なり。是は何によって故事を見給ふや知らずともよろしき日取りなるべし。さて唐(もろこし)『漢魏叢書』の中に、『刀剣録』と云が有り。又坪井先生の『本朝古今刀剣録』といふ書をせられたり。是には堅く『浅深抄』の庚申の説をとりて、金と金とが能(よじ)とあり。しかれども予が心には、土による金なれば室町家の方がよろしくおもふ也。
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