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神戸市北区の異人館街を見てきました。内部公開されている洋館には元の所有者にちなみ、オーストリア、オランダ、イギリスなどの観光広報を兼ねた展示があり、復元・複製品や写真パネルが中心ですが楽しく見ることが出来ました。
一寸驚いたのはデンマーク館にアンデルセン、トーベ=ヤンソン(『ムーミン』の原作者)と共にバイキングの文化が展示されていました。考古学の知識ではバイキングの本場はノルウェーやスウェーデンだと思っていたのですが、そういえばデンマークは海に面しているだけでなく街道や河川交通でヨーロッパ諸国とも交流があり、バイキングの中でも高い文化を持っていたようです。
スカンジナビアを中心にバイキングが優れた鉄の武器と造船・航海術をもってヨーロッパを席捲した「バイキング時代」は西暦800-1050年で、ほぼわが国の平安時代に重なります。 北欧は鉄鉱石の産地でもありますが、バイキング時代には沼地に生成される水酸化鉄の沼鉄鉱、褐鉄鉱などを木炭の小さな炉で製錬、炉内の鉄の塊を鍛造して鉄素材を得ていました。炭素量の調整や、それによる硬軟の鉄を鍛接した水波紋のある長い剣を始め、戦斧、鉄の兜、鎖を編んだ甲冑などが作られ、造船用の鉄釘、錐や手斧などの工具も作られていました。さらに熱処理など炭素鋼の有効な利用から、バイキング時代を「鋼の時代の始まり」とする説もあるようです。
神戸異人館のデンマーク館には縮小模型ながら構造のよく分かるバイキング船、その工具と、同様に復元された武器武具も展示されており、思いがけず北の鉄器文化に触れることができました。そういえば日本刀の技術の完成もほぼこの時代に重なります。不思議な一致ですね。
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